日本で仮想通貨は普及するのか。落合陽一が見る未来

このところ「仮想通貨」がなにかと話題だ。

しかし、仮想通貨が普及することで僕らの生活はどうかわるのか、具体的なイメージをつかんでいる人は少ないだろう。

そこで今回は現代の魔法使いと呼ばれる落合陽一(おちあい・よういち)氏に、「仮想通貨が紡ぐ未来について」伺った。

(photo by masato_kato)
落合陽一 Yoichi Ochiai

1987年生まれ、2015年東京大学大学院学際情報学府博士課程早期修了、博士 (学際情報学)。その後、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社創業、フェーズドアレイ技術やデジタルファブリケーション技術の開発に関わる。2015年より筑波大学図書館情報メディア系助教 デジタルネイチャー研究室主宰。2017年よりピクシーダストテクノロジーズ株式会社と筑波大学の特別共同研究事業「デジタルネイチャー推進戦略研究基盤」代表/准教授。機械知能と人間知能の連携について波動工学やデジタルファブリケーション技術を用いて探求。2015年より、一般社団法人未踏 理事、一般社団法人バーチャルリアリティコンソーシアム理事。2017年より筑波大学 学長補佐、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授。受賞歴として、IPA認定スーパークリエータ・天才プログラマー (2010年)、ワールドテクノロジーアワード (2015年)、プリアルスエレクトロニカHonorary Mention (2016年)、グッドデザイン賞 (2014年、2015年)、経済産業省Innovative Technologies賞 (2014年、2015年、2016年)など。

仮想通貨の普及と私たちの生活

ーー仮想通貨が普及することで、私たちの生活はどう変わるのでしょうか?

具体的に何が変わるか言及するのは難しいですが、僕が思うに、仮想通貨が普及することで変化するのは『資産運用のバリエーション』ですね。

現状、一般的なのは円や外貨、金、プラチナくらいですよね。それが、ビットコイン建てだったりライトコイン建てだったり、自分の好きなカタチ(仮想通貨)で資産を蓄えられる。自分の資産をどうやって保有するか自由に選べるというのは大きな変化といえる。

もちろん、単純に仮想通貨で資産を保有するメリットもあります。仮想通貨は、意図的に価値をコントロールできないモノなので、一国の財政に左右されることがない。極端な話、日本が財政難に陥り破綻しても、自分の資産を守ることができる。もちろん、日本よりも仮想通貨のエコシステムの方が脆弱かもしれませんが。

ーーなるほど。たしかに法定通貨は各国政府の支配下にあるから、政治や世界情勢の影響をモロに受けてしまいますね。その点、仮想通貨は特定の国に依存していない分、その影響を受けることは少ない。

あとは、通貨の新しい流通の仕組みができることも変化のひとつですね。仮想通貨の動きがスムーズになれば、流通の活性化も見込める。現在もすでに、VALU(バリュー)などのサービスを利用している人は、自分の時間や価値をビットコインへ変換するなど、簡単に通貨を動かせるようになっていますよね。

モナコインだったら、Twitter上で気軽に送金できるようになっていますし。また地元や名産品のICOなどもありえる。政府としては、財政政策と金融政策の間に、違うポリティカルアクションを起こしうる。ユーザーとしては、資金調達がしやすくなるし、欲しいものに価値を払えるようになる。

こういったサービスはこれからも、どんどん増えていくと思いますよ。

仮想通貨が普及しない原因

ーー仮想通貨が普及することで、通貨の流通がスムーズに……。たしかに仮想通貨は、海外送金などにかかる手数料が安くなったり、送金にかかる時間が短縮できると注目を集めていましたね。でも、こんなにメリットが多いのにどうして普及していないのでしょうか?

仮想通貨が普及しない原因はいくつかあります。なかでも大きい原因が手数料の高さ。ビットコインを例に挙げると、手数料がとにかく高い。少し前に、僕が食事の支払いをビットコインで済ませようとしたら、手数料の方が高くなったこともありました。これでは、日常的に使うことは難しいですよね。

それと、昨今のコインチェックの問題もありましたが、未だセキュリティを含む運用面でのいくつかの問題があると思います。

あとは、場合によっては送金に時間がかかりすぎることも仮想通貨が普及しない大きな原因だと思います。というのも少し前まで、ビットコインは送金手続きをしてから着金まで10日もかかっていたとか。期間が保証されていないのは、利用者にとってはかなりの痛手ですよね。

ーー買い物するたびに10日も待たされたら、店側も支払う側もたまったもんじゃありませんね。もともとビットコインは、手数料が安くて送金に時間がかからないのがメリットのはずなのに、たしかに送金詰まりが起きているようですね……。

現状、ビットコインは投機以外の目的では使いづらい。ただこれらの根本的な原因は、アルゴリズムが不完全だからなんです

仮想通貨が普及するためにはどうすればよいか

ーーアルゴリズムが不完全というのは、どういうことですか。

ビットコインの送金が遅くてコストが高い理由は、様々な理由が考えられます。計算機能力、流通量、ブロック長など。でも単純にブロック長をあげたら解決する問題でもないんですよね。利用者が増えれば、またどこかで詰まるでしょうから、根本的な解決にはならない。ということは、そもそものアルゴリズム自体に問題があることは明白。

ーーでは仮にアルゴリズムが改善されたら、仮想通貨は日本で普及していくのでしょうか?日本はモバイル決済の利用率が6パーセント前後といわれています。モバイル決済が普及していないので、仮想通貨もそうなってしまうのではないか不安です。

モバイル決済と仮想通貨での決済は全くの別物ですよ。仮想通貨と比較するのであれば、クレジットカードの方が中央集権/非中央集権の違いがあるにしろ、適切だと思います。

ただ仮想通貨での決済とクレジットカード決済を比較すると、現状では後者の方が決済も早くて、手数料も安い。これもやっぱりアルゴリズムやインフラが改善されないことには普及しないでしょうね。

仮想通貨の暴騰は日本マネーによるもの?

でも投機目的や資産運用としては、日本で仮想通貨が普及していく可能性は十分にありえます。

つい最近あった暴騰は、日本マネーによるものといわれるくらい、日本人は仮想通貨に関心が高い。でもここで注意したいのは、暴落したときに損するのは日本人だということ。

ーーそれはなぜでしょうか?

日本円で買ってるから。

仮想通貨をbitFlyer(ビットフライヤー)やcoincheck(コインチェック)といった国内の取引所で保有し続けるなら、日本のGDPに影響することはありません。しかしPoloniex(ポロニエックス)とかbitfnex(ビットフィネックス)とか海外の取引所なら、通貨レートとしては日本円だと損するだけ。つまり、海外に円が流出しているだけの状態なんですよ。

ーー海外に日本円が出ていってしまうだけというのは怖いですね。

仮想通貨のなかに紛れる詐欺コインの存在

怖いといえば、詐欺コインの存在。海外の取引所には、仮想通貨と呼べないモノも存在しているので注意したほうがいい。現状のICOってクラウドファンディングでいいような内容が多いんですよ

ーーどういったモノが詐欺コインなのでしょうか?

明確な規定はありませんが、個人的に元締めが儲かろうとしているICOは避けたほうがいいと思います。特に通貨の機能やエコシステムをどうテクノロジーで向上させて行くのかについて考えていないモノは、よい仮想通貨とはいえないですから。

ICOとは
Initial Coin Offeringの略。新しい仮想通貨を発行して、その通貨を買ってもらうという資金調達方法です。一般の投資家から資金を調達する手法として注目を集めています。

ーー通貨の機能ですか。たしかに実態が掴みにくい仮想通貨もよく見かけますね。では落合さんが思う、よい仮想通貨はどういったものでしょうか?

そうだなあ。元締めと市場参加者がフェアな条件で取引できる仮想通貨ですかね。ただ、現状はそういったモノが少ない。

その原因は、みんながコンピューターサイエンスやセキュアなシステムというものを理解していないことにあると思っています。つまり、どのようにアルゴリズムが規定されていて、それによって何を変換したりトレードしたりするとフェアなのか理解できていない。

今は理念先行でICOしているケースが多く、実態が追いついてないんですよ。それは本質的にも義務としても正しくない。

ーーわかるようなわからないような……。

ようは『アルゴリズムが第三者にもわかりやすく、開発者も取り組みやすく、報酬をどう得るかということについてもフェアな仮想通貨』であるかどうかなんですよね。それが満たされているモノは、よい仮想通貨だと思いますよ。この考え方ができるようになるだけでも、良い仮想通貨を見極める力には十分なると思います。

余談

ーー今買うとしたらオススメの銘柄を教えてください。

そうですね。上がるか下がるかとかでなく、将来性を考えるなら、ビットコインキャッシュですかね。ビットコインよりも改善のスピードが速いから。あとは、そうだなあ。イーサリアムですかね。ちゃんと作ろうとしているので。

この記事のまとめ

落合先生の語る仮想通貨の未来はいかがだったでしょうか。


現在では投機としての側面が注目されがちですが、通貨としてきちんと使えることが本来的な目的です。


値動きがどうか、という視点だけでなく通貨が実用され得るか、された場合にどんな未来があるか、ということを考えて投資をする視点を持っていただければ幸いです。


この記事を通して少しでも仮想通貨が普及した未来を楽しみにしていただければと思います。

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