MIT発、分散型クラウドコンピューティングEnigma(エニグマ)とは

MIT発の暗号通貨Enigma(エニグマ)とは

Enigmaは、分散型クラウドコンピューティングと呼ばれる暗号通貨プロジェクトであり、チームがMIT(マサチューセッツ工科大学)出身のメンバーで構成されていることが特徴的です。

ICOで4500万ドルを調達し、Digital Currency GroupやPantera Capitalが出資していることで大きな注目を集めました。

Enigmaの特徴

Enigmaは、ブロックチェーンが抱える二つの大きな課題である、スケーラビリティ問題とプライバシー問題を解決することを目指しています。

スケーラビリティ問題

ビットコインやイーサリアムのブロックチェーンには、各ブロック内に格納できるデータ量に上限があります。(イーサリアムの場合、厳密にはブロックサイズではなくブロックごとのガスリミットが決められています。)

ここで問題なのは、ビットコインやイーサリアムの取引量が増大した場合に、正常に実行されない取引が発生してくるということです。

1ブロックに格納できるデータ量が決まっているため、そのブロックに格納できなかった取引データは、次のブロックが生成されるのを待つ必要があります。

この問題に対してEnigmaは、オフチェーンという仕組みを用いることで対応しています。また、ビットコインやイーサリアムのブロックチェーンとは異なり、Enigmaのブロックチェーンでは、取引データの処理をネットワークに参加する全てのノードで行わずに、処理を複数に分割した上でそれぞれの処理ごとにノードを担当分けして行います。

こうすることで、短い時間により多くのデータ処理を実現することができるのです。

プライバシー問題

ビットフライヤーのセキュリティー

ビットコインのブロックチェーンには、過去の全ての取引履歴が誰でも閲覧可能な状態で記録されています。 これは、データの透明性という観点ではブロックチェーンの強みといえるのですが、その反面、プライバシーが保護されていないといった捉え方もできるでしょう。

例えば、個人情報をブロックチェーンに記録してしまった場合には、全世界にその人の情報が筒抜けになってしまいます。 その他にも、他者に知られたくないが耐改ざん性は担保された状態でデータを保管したい、といった需要は少なからずあるのではないでしょうか。

こういったブロックチェーンのプライバシー問題に対してEnigmaは、データそのものの記録をブロックチェーンで行わずに、分散型ストレージで処理することで解決しています。 分散型ストレージを実現する暗号通貨プロジェクトにはStorjやSiacoinなどがありますが、Enigmaはこれらの仕組みすらも合わせて実現しようとしているのです。

また、後述するシークレットコントラクトという技術を用いることで、最終的にはデータを完全に暗号化した状態で処理できる仕組みの実現を目指しています。

Enigmaトークン(ENG)

Enigmaの通貨はENGと表記され、様々な用途に使用されます。

スマートコントラクト(シークレットコントラクト)

イーサリアムと同様、Enigmaでは簡単にスマートコントラクトを作成することができます。

ただし、Enigmaで作成されるスマートコントラクトは暗号化された状態で動作させることができるため、シークレットコントラクトと呼ばれている点が特徴的です。

このシークレットコントラクトを実行する際にENGが必要となり、シークレットコントラクトを処理するノードは報酬としてENGを受け取ることができます。 (ビットコインにおけるマイニングのような役割とイメージしてください)

DApp(Decentralized Application)

ブロックチェーン上で動作するアプリケーションのことをDAppと呼んでいますが、Enigmaのブロックチェーン上で動作するアプリケーション内で使用する通貨にもENGが用いられています。

例えば、Enigmaにはカタリストという、Enigmaブロックチェーンを利用した最初のDAppが存在しているのですが、このカタリストは投資ファンドをサポートする目的で開発され、投資に関係する有益な情報を売買したり、投資のシミュレート機能が搭載されていたりします。 このカタリスト内で使用される通貨がENGであるということです。

分散型ストレージ

先述した通り、Enigmaではブロックチェーン内に全てのデータを記録せずに分散型ストレージを活用しています。 この分散型ストレージを使用する際にもENGが必要です。 シークレットコントラクトにおける処理の報酬と同様、各ノードは分散型ストレージにリソースを提供する代わりに、報酬としてENGを受け取ることができます。

マスターノードのデポジット

Enigmaネットワークを構成する各ノードは、計算処理の際に自分の保有するENGをデポジットしなければなりません。 こうすることで、悪意のあるノードからの攻撃を防いでいます。(攻撃してきた場合にはデポジットしていたENGが没収されるため)

Enigmaに存在する各レイヤー

Enigmaは大きく分けて3つの層から構成されています。

Protocol Layer:最下層
最下層に位置しているのがプロトコルレイヤーで、Enigmaブロックチェーンの根幹にあたる部分です。
このプロトコルレイヤーで、シークレットコントラクトの実行や分散型ストレージへのアクセスを行なっています。

Platform Layer:中間層
中間層にあたるプラットフォームレイヤーでは、データのマーケットプレイスなどの様々なプラットフォームを構築することができます。

Application Layer:最上層
最上位層にあたるアプリケーションレイヤーで、カタリストなどのDAppを作成することができます。

Enigma公式サイトより

このように、各レイヤーによって実現できる機能が異なることからも、Enigmaが非常に壮大なビジョンを掲げていることが伺えるでしょう。

Enigmaのシークレットコントラクト

先述した通り、ブロックチェーンにはプライバシーの問題が存在しています。 ブロックチェーンに記録されたデータは誰でも閲覧することができ、かつ一度記録されると永遠に消すことができません。

例えば、イーサリアムなどの従来のスマートコントラクトでは、入出力データや契約内容が丸見えになっています。 この状態は、透明性を担保したい場合には有効ですが、例えば社内限定のデータであったり第三者に知られたくないようなデータをやり取りする場合には適していません。

ここからは、これらの問題を解決するためにEnigmaが構想しているシークレットコントラクトを実現するために必要な、暗号化の仕組みと計算処理の方法を解説していきます。

暗号化クラウドコンピューティング

Enigmaは、制限付き完全準同型暗号という暗号方式で構築されています。

1978年に、データが暗号化された状態で乗法や加法の計算ができる準同型暗号という暗号方式が提唱されたのですが、この暗号方式では乗法と加法の両方を同時に実現することはできませんでした。 それに対してEnigmaは、この両方を実現する完全準同型の暗号方式を開発しようとしています。(暗号方式自体は非常にマニアックなため、特に詳しく理解する必要はないでしょう)

これはコンピュータサイエンスの歴史において非常に大きな変革であり、この両方が同時に実現されることで、データの入出力が暗号化されたままチューリングマシンを構築することができるのです。 要するに、あらゆる計算処理がブラックボックスの状態で行われ、計算処理のプロセスやデータそのものが関係者以外に漏洩することがなくなります。

具体的にEnigmaで何が可能になるのか

少し話が難しくなってしまったので、つまりEnigmaによってどういったことが実現可能になるのか、具体例を紹介したいと思います。

例えば、TwitterやFacebookといったSNSをはじめ、それらを運営するために必要なAWSやGCPといったサービスには、プライバシーの問題が付き物となっていました。 セキュリティの性能を高めてハッキングの被害を最小限にしたとしても、そもそもこれらのサービスを運営する第三者(AWSならAmazon、GCPならGoogle)にはデータが筒抜けになっている可能性があります。

しかしながら、AWSやGCPの代わりにEnigmaを使用すれば、暗号化された状態のままデータのやり取りが可能になります。

他には、例えば暗号通貨の管理方法を考察する際に必ず言及される秘密鍵に関して、Enigmaを用いることで暗号化したままクラウドストレージに保管しておくことができるため、秘密鍵の紛失による通貨の損失や第三者への漏洩を防ぐことができるのです。

計算処理

それでは、実際にデータを暗号化した状態でどのように計算処理を実行しているのか説明していきます。

まず、Enigmaの利用者から保管もしくは処理したいデータがインプットされると、そのデータは複数の細かいデータに分割されます。 これにより、分割されたデータが単体では意味を為さなくなるようにします。 その分割されたデータをそれぞれノードが処理し、結果だけが利用者に返されるという流れです。

例えば、「10を素因数分解して全てを加算するという計算処理」をEnigmaにインプットしたとします。 Aというノードでは10を2と5に素因数分解し、別のBというノードでは2+5が実行され、結果である7という数字だけが利用者に返ってきます。 ここで、Aは2+5という計算処理や計算処理の結果である7という数字はわかりませんし、Bは2と5が元々なんの数字だったのかはわかりません。 (ここでは話を簡単にするために二つのノードしか登場していませんが、実際には2や5といった数字をさらに細かい数字に分解したりしてから計算しています)

この計算処理を実現しているのが、sMPCまたはMPCと呼ばれるマルチパーティという計算方式であり、この方式を使用することで、信頼を前提とした第三者を排除した状態でデータの計算処理が可能になるのです。

スマートコントラクトの課題の解決を目指す

また、Enigmaでは、従来のスマートコントラクトの処理において課題だった手数料の問題を解決することも目指しています。

イーサリアムやビットコインなどでは、ネットワークに参加している全てのノードが同じ計算を実行していますが、これはデータの堅牢性や透明性を担保するには有効な仕組みである反面、スマートコントラクトのように多数の処理を実行したい場合には適していません。

Enigmaでは、ランダムに決められる一部のノードがシークレットコントラクトを実行し、その結果を他のノードが承認していくという流れにしています。 こうすることで、処理が複雑な契約条件でも、これまでのように多くの手数料を必要とせずに実行できるようになりました。

Enigmaの今後

最後に、Enigmaが今後どういった構想を立てていて、どのような世界を実現しようとしているのか少し紹介しておこうと思います。

提携先

まず、現時点(2018年5月)でEnigmaがパートナーシップを結んでいるプロジェクトを紹介します。

KyberNetwork

Enigmaは2017年10月に、DEXを運営するKyberNetworkとのパートナーシップを発表しました。 Enigmaの開発しているカタリストを用いてKyberNetworkのデータ分析をさらに進展させていくための戦略であるとのことで、共にデータの民主化に向けて取り組んでいくと、EnigmaのCEOであるGuy Zyskind氏は述べています。

EtherDelta

KyberNetworkと同様、DEXを運営するEtherDeltaともEnigmaはパートナーシップを結んでいます。 こちらもカタリストで収集したデータをEtherDeltaの分析に使用し、またEtherDeltaで収集したデータをカタリストに取り込んでいくとのことです。

Aion

ブロックチェーンのインターオペラビリティ問題(異なるブロックチェーン同士に互換性がない問題)を解決するAionとのパートナーシップでは、ユーザーと開発者はEnigmaのオフチェーンからAionのブロックチェーンにアクセスして、Aion上のノードやストレージを利用することができるようになると説明しています。 これが実現すると、理論上Aionに限らず全てのブロックチェーン上のノードを利用することができるため、非常に壮大なパートナーシップといえるでしょう。

この他にも、Enigmaはいくつもの有望なブロックチェーンプロジェクトとのパートナーシップを締結しており、今後の進展に大きな注目が集まっています。

ロードマップ

最後に、Enigmaチームが今後どのようなビジョンを描いていてどのような世界を実現しようとしているのか、Enigmaチームの公表している2020年までのロードマップを元に紹介していこうと思います。

DISCOVERY:Enigmaプロトコル最小限の機能を開発(2018年)

  • シークレットコントラクト1.0
  • DAppデータの抱えるプライバシー問題への対応
  • イーサリアムとの統合

DISCOVERYは、Enigmaのシークレットコントラクトを体感してもらうための必要最小限の機能をリリースするフェーズです。 このフェーズでは、開発者がdAppを開発しやすくするためイーサリアムのブロックチェーンを使用していきます。

VOYAGER(2019年)

  • シークレットコントラクト2.0
  • dAppの独立
  • dAppのスケーラビリティ問題への対応

VOYAGERは、DISCOVERYでリリースする予定の機能に加えて、sMPCを実行できるよう整備し、dAppのプライバシーにより焦点を当てていくと説明しています。 また、このフェーズでイーサリアムからの独立を開始する予定です。

VALIANT(2019年)

  • ブロックチェーン全体のスケーラビリティ問題への対応
  • オープンネットワーク化

VALIANTでは、スケーラビリティ問題への対応と分散化の拡大をメインに行う予定となっています。 ここではシャーディングというスケーリングの技術を応用する計画を立てているとのことです。

DEFIANT(2020年)

  • ブロックチェーンの独立
  • 真の分散化

最後のDEFIANTでは、他のブロックチェーンから完全に独立することを目指します。

また、プライバシー問題に関しても、Enigma内で完結させた状態で対応する予定であるとしています。

この記事のまとめ

  • ブロックチェーンのスケーラビリティとプライバシーの両問題を解決しようとしている
  • シークレットコントラクトはデータが暗号化された状態のまま処理することが可能
  • 大なプロジェクトはまだまだ始まったばかりであり、今後の動向に要注目
  • リストが入ります
  • リストが入ります

Enigmaには、非常に複雑な暗号技術が応用されていたりまだまだ構想の域を超えない部分が存在していたりしますが、現在のブロックチェーンが抱える問題を解決するために非常に期待のできるプロジェクトです。 まずは2018年を予定している、シークレットコントラクト1.0のリリースに関する情報を追ってみると良いかと思います。

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