仮想通貨に関する法律から読み解く日本政府の見解

coingeゲストライターの田上です。

先日、仮想通貨元年といわれた2017年分の確定申告期間がスタートしました。

これまで確定申告を必要としていなかった会社員の方や学生なども対応が必要であり、今回が初めてという方もいるのではないでしょうか。

また、度重なる中国の仮想通貨規制や、韓国やインドの取り締まりなどによる価格の変動が顕著となっています。

そこで今回は、仮想通貨に関する法律について触れていきたいと思います。

これまで政府が公表してきた声明や税金、日本政府の見解など、この記事だけ読めば一通り把握できている、という状態になれるよう心がけました。

仮想通貨に関する法律

法律というと途端に苦手意識を抱いてしまう方もいるかと思いますが、利用者としては基本的には資金決済法を把握していれば問題ありません。

資金決済法に仮想通貨に関する部分が追加された背景と、その内容について説明していきます。

法律制定の背景

仮想通貨の普及に伴い、マウントゴックスの破綻やマネーロンダリングへの利用などが増えたことをうけ、2015年6月8日に開催されたG7エルマウサミットで、仮想通貨に関する首脳宣言がなされました。

また、同年6月26日にFATF(金融作業活動部会)ガイダンスで、仮想通貨と法定通貨の交換所に対して登録・免許制を課すとともに、顧客の本人確認義務などのマネーロンダリング及びテロ資金供与規制を課すことが各国に求められることとなりました。

こうした世界的な動きが背景となり、日本国内でも金融審議会のもとに設置された「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」を主導として仮想通貨に対する規制の検討が行われ、資金決済法を改正することで仮想通貨に関する法的規制が導入されることとなりました。

資金決済法

資金決済法

先述の通り、G7サミットやFATFガイダンスでの声明を受けて、2016年5月25日に成立し、改正資金決済法は2017年4月1日に施行されました。

元々あった資金決済法に追加される形で仮想通貨に関する規定がなされたため、この新たに加わった部分のみを切り出して、仮想通貨法として呼ばれていることもあるようです。

今回は、その仮想通貨法に該当する部分の具体的な内容を紹介していきます。

仮想通貨の定義

資金決済法2条5項及び6項には以下のように記載されています。

「この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。

1.物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

2.不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

3.この法律において「通貨建資産」とは、本邦通貨若しくは外国通(新設)貨をもって表示され、又は本邦通貨若しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるもの(以下この項において「債務の履行等」という。)が行われることとされている資産をいう。この場合において、通貨建資産をもって債務の履行等が行われることとされている資産は、通貨建資産とみなす。」

少し具体例を出しながら補足します。
例えば、ビットコインやイーサリアム、リップルなどの仮想通貨の代表的なものは上記全てに該当します。

それに対して、従来より発行されてきた電子マネーやポイントサービスについては、上記の1の要件に該当しません。
また、国債や企業の発行する債券などは、3の要件を欠いています。

改正資金決済法により、電子マネーやポイントなどと仮想通貨の違いが明確に定義づけられることとなりました。

仮想通貨交換業の定義

改正資金決済法により、仮想通貨交換業を営む場合には登録が必要であると定められました。
具体的に仮想通貨交換業とは、資金決済法2条7項により、以下のいずれかとされています。

1.仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
2.前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
3.その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。

仮想通貨の販売所や交換所は1に該当します。
また、最近台数が増えているATM事業も1に該当します。
顧客の売り注文と買い注文をマッチングさせる取引所は2に該当します。

なお、仮想通貨のウォレットを開設するだけで、法定通貨との交換を行わない事業の場合には、現状は規制対象とはなりません。

資金決済法63条の5には、仮想通貨交換業者の登録要件も詳細に記載されていますが、今回の記事は消費者向けのため、ここでは割愛します。

上記の定義や規定をクリアして日本国内で許可されている業者と仮想通貨を金融庁が発表しているため、リンク先を掲載しておきます。(2018年1月時点)
金融庁HP-仮想通貨交換業者登録一覧-

なお、許可されている仮想通貨の一覧が掲載されているわけではありませんが、許可されている業者の取り扱っている仮想通貨が全てと考えてよいでしょう。

仮想通貨に関する税金

仮想通貨税金

我々のような消費者であれば、上記のような仮想通貨に関する法律は簡単に把握していれば問題ありません。

しかし、仮想通貨に関する税金はしっかりと理解し、正しい対応をする必要があります。
ここからは仮想通貨に関する税金について説明していきます。

消費税

まずは、消費税についてです。

参議院議員の大久保勉氏によって、第186回国会「常会」の質問主意書第28号が提出され、それに対する答弁書に、

一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)等に定める課税要件を満たす場合には、課税の対象となる。

と記載されています。(一部抜粋)

つまり、2014年の時点では、日本政府はビットコインには消費税が課せれ得るという立場を取っていたということになります。

また、財務大臣が衆議院予算委員会で、日本では仮想通貨の取引に対して消費税が課される旨の答弁をしたこともありました。

そういった状況の中で、先述の資金決済法の改正などをうけ、2017年度の税制改革により消費税法施行令が改正され、消費税が非課税となる取引に、資金決済法2条5項に定義する仮想通貨の譲渡(国内での仮想通貨譲渡)が含まれるようになりました。

この法令は2017年7月1日に施行され、販売所などにおける提示価格が、従来は税込だったのに対して税抜き価格に変更されるなどしています。

所得税

国税庁HPのタックスアンサーには、 国税庁HPのタックスアンサーには、ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係について以下のように記載されています。

ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

原則雑所得となると記載されていますが、仮想通貨を事業として使用している場合には事業所得となるため注意が必要です。

なお、総合課税になるため、他の総合課税の所得(配当所得や不動産所得、事業所得、給与所得など)と合算となり、超過累進税率が適用されます。

少しわかりにくいように感じますが、要するに、ビットコインで得た利益は雑所得として扱われるため所得税の確定申告が必要になる、ということです。

所得税の確定申告の詳細については説明を省略しますが、基本的に国税庁のタックスアンサーに記載されている通りに対応すれば問題ありません。

以下を参考にしてください。

  • No.1900:給与所得者で確定申告が必要な人
  • No.1500:雑所得
  • No.2020:確定申告
  • No.2220:総合課税制度
  • No.2260:所得税の税率

課税のタイミング

仮想通貨で得た利益には所得税が課されるとお伝えしましたが、具体的にどのタイミングで課されるのでしょうか。

大きく分けて以下の4つがあるので、具体例とともに説明していきます。

1.法定通貨へ換金した時

例:ビットコインを1BTC10万円の時に購入し、1BTC20万円の時に売却した場合
→10万円(20万円-10万円)が雑所得としてみなされます。

2.仮想通貨で資産を購入した時

例:1BTC10万円の時に購入したビットコインを使って、1BTC20万円の時に40万円の自動車を2BTCで購入した場合
→20万円(40万円-20万円)が雑所得としてみなされます。

3.仮想通貨同士で換金した時

例:ビットコインを1BTC10万円の時に購入し、1ETH1万円のイーサリアム5ETHと交換した場合
→5万円(10万円-5万円)が雑所得とみなされます。

4.マイニングした時

例:1BTC10万円の時に3BTCをマイニングした場合
→30万円-マイニングにかかった費用が雑所得としてみなされます。

なお、上記はあくまで参考例であり、所得控除なども考慮する必要があることから、やはり国税庁のタックスアンサーを確認し、わからない場合は税理士の方へ相談することを推奨します。

日本政府の見解

仮想通貨日本

以上が仮想通貨に関する一通りの法律です。
ここからは、日本政府の仮想通貨に対する見解を考察していきたいと思います。

未来投資戦略

日本政府は未来投資戦略2017未来投資戦略2017の中で、Fintechを重点5戦略分野の一つに据ています。

以下のKPIを明確にすることで非常に具体的な取り組みを実施していることからも、Fintechへの強い関心が伺えます。

  1. 今後3年以内(2020年6月まで)に、80行程度以上の銀行におけるオープンAPIの導入を目指す。
  2. 今後10年間(2027年6月まで)に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す。
  3. 今後5年間(2022年6月まで)に、IT化に対応しながらクラウドサービス等を活用してバックオフィス業務(財務・会計領域等)を効率化する中小企業等の割合を現状の4倍程度とし、4割程度とすることを目指す。
  4. 2020年度までに、日本のサプライチェーン単位での資金循環効率(サプライチェーンキャッシュコンバージョンサイクル:SCCC)を5%改善することを目指す。

では、日本国内における規制緩和が進むのが遅いように感じるのはなぜでしょうか。

金融業界の規制緩和はなぜ進まないのか

日本を含む各国は金融業に関する規制として、事前規制型の業態別ライセンス制度を採用しています。

そのため、金融の規制を変える前提として、ライセンスを維持するための以下の4種類の規制を遵守する必要があります。

  • ガバナンス、体制整備などの組織やその運営に関する規制
  • 禁止事項の不実施などの行為規制
  • 利害関係者に対する情報開示義務
  • 財務の健全性規制

これらのライセンスを維持することが、金融業の規制を変更する際の高いハードルとなっています。
しかし、我々消費者の保護や国内産業インフラの整備国際的な金融安定のためには必要不可欠なものであり、一概にイノベーションを阻害している害悪であるとも言い切れないのです。

日本政府、デジタル通貨「e円」の発行を検討

一方で、非常に革新的な動きも政府内で見られています。

日本円のデジタル通貨発行に関する質問主意書」という名称で、2018年2月5日に内閣に宛てられた質問に対する回答が、同年2月13日に返ってきました。

質問内容としては、冒頭で世界各国のデジタル通貨発行検討事例を取り上げ、現在の決済手段の利用管理コストの削減に関する点や、日本政府としてデジタル通貨発行(e円)を具体的にどのように検討しているのかが不明確である点を指摘しています。

それに対して、内閣の出した答弁(参照元:BLOGOS)としては、

  • 当該通貨を使用する際の国民の利便性や安全性、金融システムへの影響等について考慮する必要がある
  • 現時点では、日本の紙ベースによる決済手段をデジタル通貨などの電子決済に置き換えることによる、コスト削減などの研究、試算を行う予定はない
  • 仮想通貨等について意見交換を行い、議論を深めることは有益であると考えている

などと記載されていたとのことです。
具体的な動きが未だに見られない部分はあるものの、質問提出後1週間ほどで答弁が返ってきたことを考えると、日本政府における仮想通貨の意識が非常に高まってきていることが伺えます。

個人的には、日本政府は仮想通貨に限らずFintechなどのテクノロジーに非常に前向きであると考えています。

しかしながら、複雑に絡み合う法律を考慮する必要があり、今後さらなる具体的な動きが見られるようになるには、もう少し時間がかかりそうであるといえるでしょう。

この記事のまとめ

  • 仮想通貨に関する法律は資金決済法
  • 仮想通貨は原則雑所得として扱われ、所得税の確定申告必要
  • 日本政府は仮想通貨に対してポジティブであり、知見を多く有しているといえる

法律や声明を理解することで、日本政府が仮想通貨に対してどのように考えていて、今後どのような対応を検討していくのかが見えてくるのではないでしょうか。

今後も、法律の改正や新たな声明が公表されることが予想されますが、その都度断片的な情報を得るのではなく、まずは一から体系的に整理してみることが非常に重要です。

法律に関する情報は、金融庁や国税庁からの一次情報を入手することを心がけるとよいでしょう。

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