目次
イーサリアム(ETH)とはなにか
イーサリアムとは、誰でもブロックチェーン技術を利用してアプリケーションを作成できるプラットフォームを目指すプロジェクトの名称です。
イーサリアム(ETH)の特徴
イーサリアムは単なる仮想通貨ではありません。イーサ(ETH)というトークンを介して、さまざまなプロジェクトやサービス開発を行えるようにしたプラットフォームです。
ロシア出身のヴィタリック・ブテリンが生み出し、彼をはじめとした「ETH DEV」によって開発が進められています。
最大の特徴とされているのが、「スマートコントラクト」と呼ばれる機能です。ビットコインが単なる通貨であるのに対し、イーサリアムはアプリケーション作成プラットフォームです。
イーサの取引に際して、取引内容だけではなく、「取引に付随する契約を記録する」ことができます。契約内容が履行されれば、自動的にイーサの支払いが行われたり、逆に契約不履行なら自動的にイーサが元の持ち主に返還されたりします。
仲介者を必要とせず、公正な取引が行えるなら、公的機関による仲裁が不要になります。まさに「非中央集権的な通貨になる」という仮想通貨の理想を叶える機能だといえるでしょう。
イーサリアム(ETH)の特徴・時価総額
イーサリアムの基本情報(※) | |
---|---|
時価総額 | 4.2兆円(第2位) |
現発行枚数 | 9,700万ETH |
承認アルゴリズム | Proof of Stake(PoS) |
※:2018年3月現在の情報です
The DAO事件とハードフォーク
イーサリアムについて調べると、この事件を耳にしたことがあると思います。イーサリアムを語る上では避けては通れない話題です。ただ、この事件が起こったからイーサリアムが危ない、ということではありません。
そもそもDAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)とは特定の国や特定の管理主体に属さず、管理者不在のコンピューターが管理する組織の事です。その組織はスマートコントラクト上に成り立っています。
そしてThe DAOとは、DAOという概念に基づいたプロジェクトです。
イーサリアム(ETH)の将来性
イーサリアムを利用したアプリケーションは、日々開発が進んでいます。そしてイーサリアムを利用したICO(新規仮想通貨発行による資金集め)が非常に多いなど、今後ますます活用される場が広がりそうです。
イーサリアムを利用したICO
- MobileGO:オンラインゲームのプラットフォームであるGameCredits(ゲームクレジット)を発展させるためのプロジェクト
- Augur:「占い師」という意味で、未来の出来事を予測することによって、正解をすれば報酬を得る事ができる
- OmiseGO:東南アジア全域で決済可能な仮想通貨。日本と東南アジアの経済分野の不具合の解消が目的
また、イーサリアムのスマートコントラスト技術をビジネスレベルで活用するための研究・開発を行う目的で設立されたイーサリアム企業連合(EEA)があります。
JPモルガンやマイクロソフト、トヨタといった大企業を中心に、現在世界200社以上が加盟しています。このような大企業も参画していることから、イーサリアムへの期待は非常に大きいものとなっています。
ただ、イーサリアム上のアプリケーション開発は、イーサリアム開発グループとは異なるコミュニティによって運営されます。
イーサリアム自体の安全性が失われなくても、イーサリアム上のプロジェクトに参加することで損害を被る可能性があります。
実際、2016年6月に起きた「The DAO事件」により、大量のイーサが不正に流出。これをきっかけに、ハードフォーク問題が起こるという事態に陥りました。
イーサリアムの持つ可能性に希望を持つ人は多いですが、いまだに解決できていない問題があるのも事実です。
The DAO事件とは?
DAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)
イーサリアム(ETH)のチャート
イーサリアムは2015年の公開直後1ETH=300円をつけたもののすぐに値を下げました。
仮想通貨特有のリリース直後の乱高下(プレセールで購入した人が利益確定のために売り払うため)以降、非常に安定した値動きを見せます。
極めてゆっくりとした値上がりを続け、2017年の初めまでは1ETH=1000円程度で推移しますが、3月中旬になると急激に価格を上げ、1ETH=5000円まで急騰します。
理由はイーサリアム同盟「エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(EEA)」設立だといわれています。
JPモルガンやマイクロソフト、インテルなどの大企業が参加して、イーサリアムを使えるコンピュータシステムの開発に着手したのです。
また同時期にビットコインETF(上場投資信託)の承認が降りず、ビットコインから資金が逃げたという点もあります。ビットコインから流れた投資資金が、好材料のあったイーサに流れたわけです。
その後、イーサリアムETF申請やEEAにトヨタやサムスンなどが参加を表明するなどの出来事があり、6月までに1ETH=5万円に迫る勢いを見せます。
ですが、直後に急落し、1ETH=2万円以下まで値を戻しました。2017年末から仮想通貨市場全体が好況になると、イーサも再び値を伸ばします。
結果的には2018年1月に史上最高値を1ETH=16万円台まで更新しますがすぐに急落。 2月に入ってからは10万円弱という価格で推移しています。
イーサリアム(ETH)の買える取引所
イーサリアムを購入できる取引所はかなり多いです。初心者なら、簡単に比較的安心して利用できる国内取引所を使うことをおすすめします。
bitFlyer(ビットフライヤー)

bitFlyerは国内最大規模の取引所です。旧財閥系の企業などが株主として名を連ねているため、資本金という面でも信用面でも安心して利用できるでしょう。反面、売買時のスプレッドが高いというデメリットもあります。
Zaif

Zaifの特徴は、とにかく手数料が安いという点です。イーサの場合、売買方法によっては手数料無料になります。高くても、0.1%であり、「売買だけでお金がかかるのは困る」と思っている人でも気軽に仮想通貨を購入できます。
bitbank.cc(ビットバンク)

bitbank.ccは仮想通貨の現物取引に特化しています。2018年6月30日まで、仮想通貨交換業登録記念と題して、全ペア取引手数料を無料にするキャンペーン中です。
ただし、一点だけ注意があります。bitbank.ccでは、日本円でイーサリアムを直接購入することはできません。一度ビットコインを購入するか他のウォレットで受け取ってから、ビットコインでイーサリアムを買うという方法が必要です。
イーサリアム(ETH)の保有にオススメのウォレット
イーサを管理する上では、取引所に預けておくのもひとつの方法です。短期的に売買を繰り返す場合は、取引所の口座に置いておくほうが便利でしょう。
しかし、長く保有する場合は、取引所でトラブルが起きても安全なウォレットに保管するべきです。
MyEtherWallet(マイイーサウォレット)

日本語に対応したウォレットです。オンラインウォレットですが、オフライン状態のPCから生成した取引をオンラインのPCで送信することができます。
一手間かかりますが、オンライン上で秘密鍵を使わなくてもイーサリアムの取引ができるのです。セキュリティを重視した利用方法があるというのは安心できます。
Trezor(トレザー)

Trezorはハードウォレットであり、セキュリティ面が非常に強いウォレットです。破損や紛失のリスクはありますが、設定時に書き留めた復元フレーズがあれば、仮想通貨の保有データを復元することも可能です。
イーサ以外にも多くの仮想通貨に対応している点も嬉しいところでしょう。また、イーサに関してはMyEtherWalletと連携させて保管することもできます。
Jaxx(ジャックス)

Jaxxはスマホアプリとして仮想通貨を管理できるウォレットです。また、WindowsやMacなどのOSにも対応しているため、使い勝手の良さが特徴でしょう。
ただし、オンラインでの利用が前提になりますから、ウイルスなどには弱い面があることは忘れないでください。
イーサリアム(ETH)プラットフォームはまだ発展途中
イーサリアムはブロックチェーン技術を利用したアプリケーションやサービスを開発するための基盤を提供するためのプラットフォームです。大きな可能性を秘めており、世界の大企業が注目するプロジェクトではあります。
ただし、「イーサリアムを利用して何ができるのか」という点は、今後多くの個人や組織が参加しながら探していくものです。壮大な理想がある反面、本当に実現するのかどうかは不透明な面もあります。
また、イーサ自身の問題点として、ビットコインと同様のスケーラビリティ問題を抱えていることを忘れてはなりません。
取引が承認されるまでの時間がかかりすぎるというのは、仮想通貨として大きな課題でしょう。もちろん、こうした障害を排除するために開発が進められています。
しかし、これからイーサを購入しようとする人は、まだ開発途中のものに投資するということは覚えておきましょう。